時刻は5時37分。その日も、男はまだ朝日がのぼり切らないうちに職場へと車を走らせていた。
最後に休んだのはいつだろうか。昨日食べたものも覚えていないのだから、そんなこと思い出せるはずもない。
また何も変わらない一日が始まるのかと、男は虚な目で前方をぼんやりと眺める。
勤めている会社は世間ではホワイト企業として認知されている。だが俺の部署だけは配属初日から日を跨ぐ残業、休日出勤は当たり前、夜中クライアントからの鳴り止まない電話、いわゆるブラックってやつだった。
周りにいるのは無能で部下に仕事を押し付けふんぞりかえっている傲慢な上司、舐めた態度で接してくる後輩、電話越しにめちゃくちゃな条件を押し付けてくる納品先。
会社の力になる、そして出世してやると憧れを抱いて入社した8年前の俺の面影は、既に何処にもなかった。
「はぁ・・・・」
俺は毎朝会社に向かう途中のコンビニで、ブラックコーヒーを買って飲む。今では会社に着くまでの、この時間だけが唯一の癒しだ。
垂れ流されているラジオでは、アナウンサーとコメンテーターがこの間始まった映画について意見を交わしている。男がこのチャンネルを聞くのは、早朝の時間帯に放送されているのがこの局しか無いからであって、特別好きなわけではなかった。
もう少しで会社に着くというところで、いつもの信号に捕まった。周囲には車はほとんど走っておらず、人気もない。
男は飲み終わった空き缶を鬱憤晴らしに車から投げ捨てた。ゴミ捨て禁止と書かれた看板を狙ったそれは、わずかに右に逸れ草むらに消えていく。
「チッ!」
男は舌打ちをして乱暴にアクセルを踏んだ。草むらには、投げられた缶と同じものが他にも沢山散らばっていた。
会社に着くといつもと変わらない、削られるだけの時間が過ぎていく。日付が変わった後も、暗い部屋の机はモニターの光で照らされていた。
ある日、社長がこんなことを言い出した。「走りながらゴミ拾いをする‘プロギング’というイベントに参加する」と。
各部署から代表を出すことになり、うちの部署からは俺が出ろと言われた。大体そんな気はしていた。
ただでさえ休みが無いのに、なんでそんなことをしなければいけないのか。
当日、イベントが始まり、前で司会をする若い兄ちゃんが何か説明している。
「1つでも拾えばヒーロー」だとさ。
他の部署の奴らは、楽しそうに会話している。イベント中は他の部署の奴らがゴミを拾うのを最後尾から眺めていた。俺は運動が苦手だ。軽快な音楽も、明るい掛け声も、俺には眩しかった。
イベントは俺を除いて、割と盛り上がっていたように見えた。
終盤になり会社までもう少し、やっと終わりというところで皆に声を掛けながら、司会の兄ちゃんがこちらに近づいてくる。ゴミを1つも拾ってないことに何か言われるのが面倒だと思った男は、最後に数歩先にあった缶を拾った。
「ナイス!○○さん、最高です!街を綺麗にしてくれて、ありがとうございます。」
司会の若い男に声を掛けられた男は驚いた。咄嗟のことだったので、目を合わせずに会釈した。
会社に戻ると集合写真を撮り、イベントは大きな拍手と共に締められた。男にとってイベントは終始楽しむことができるものではなかったが、最後に掛けられた言葉には何故か悪い気はしなかった。
次の日もまた、男はまだ薄暗い道を車で走っている。
いつもの信号で止まった男は、今度こそ看板に空き缶を当てようと窓から手を出したところで、ふと昨日掛けられた言葉がよぎった。
数秒後男は信号が青になったことに気づき、慌てて車を発進させた。
この日以降、草むらの空き缶が増えることはなかった。
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